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よくある質問について

ヤフー知恵袋で見つけた質問です。あまりにも面白かったので紹介します。

『○才○か月の、♂の小型犬を飼っています。以前から噛む癖と見知らぬ人に吠える癖が酷いので、訓練所に預けました。家に帰ってしばらくはおとなしくしていたのですが、3週間くらいたつと全く元に戻ってしまいました。しつけ教室の効果なんてこんなものなのでしょうか? それとも悪徳業者に引っかかってしまったのでしょうか?』
 
訓練所に預けて家に帰ったら、元に戻ったというよく聞く話ですが、訓練所に入れられた犬は、「服従訓練」と呼ばれるものを受けます。この「服従訓練」とは、指示された命令に忠実に従わせることで、犬の「従属性」を引き出し、「主従関係」を築くことを目的としています。
 
訓練以外の時間は犬舎に入れられ、自由な時間はほとんどなく徹底的に生活を管理されています。そして、訓練の時間が人間と触れ合うことができる唯一の時間ですから、ストレスが溜まっている犬は、訓練士の言うことをよーく聞くようになります。

 
しかし、犬が家に帰るとしばらくは訓練所での生活習慣が残っているので大人しくしていますが、毎日訓練づけだったストイックな毎日から、昔の自由気ままな暮らしを送るうちに次第にだらけていきます。さらに飼い主が何も学んでいなければ、日が経つにつれ元に戻るのは当たり前の話です。まして、相手は生きものなのです。ものを修理するような訳にはいきません。

 
僕も日中、犬を預かってレッスンをするので、「犬を預けると先生のいうことは聞いても、飼い主のいうことは聞かないのではないでしょうか?」という質問はよく受けます。
 
先日、ご夫婦で問題行動のカウンセリングを受けられた奥様から、同じ質問をされました。すると、傍にいたご主人がすかさず、「もしそうなったら、俺たちが駄目だってことだよ!」と、奥様に言ってくれたのです。僕は思わずご主人に拍手をしてしまいました。 
 
しつけ教室は「※基礎」を学ぶところです。私たちがどんなに犬をトレーニングしても、飼い主がトレーナーから学んだことを、日常生活という「応用」の場で「実践」できなければどうにもなりません。
 
さまざまな問題行動は、犬の生まれつきの性格に加えて、飼い主が「適切な学習」を教えなかったことと、「適切な生活環境」を与えなかった結果として発達したものです。
 
問題行動を治そうとする上で大切なことは、その問題のみに目を向けるのではなく、問題を引き起こしている犬と向き合うと同時に、飼い主自身が今の生活環境を含めて全体を見つめ直すことなのです。
 
問題行動は起こし続けてきた期間が長ければ長いほど、改善が難しくなっていきます。そして、その改善には、犬以上に飼い主の努力が問われます。犬に変化を求めるなら、飼い主もしつけに対する意識を変えなければならないのです。
 
※ 基 礎 = この基礎に対する考え方が、訓練士やトレーナーによって大きく異なるのが実情。


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