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Visse's Blog エッセイ: 2014年2月アーカイブ

褒めてしつけるということ

最近お客様で、『褒めてしつけるという事は、絶対に叱ってはいけない事だと思っていました。』
という方が多いので、久しぶりのコラムで今日はこの辺に触れてみたいと思います。

まずほとんどの仔犬は叱る必要はありませんし、強く叱ってはいけません。
相手は、脳みそがまだ固まっていない「怪獣」みたいなものですから。
とにかく褒めておけばOKです。

ただ、序列意識が強いオス犬の甘噛みは、しっかりと叱った方がよい場合があります。
よくしつけの本に「無視」すればよいと書いてありますが、解決にはなりません。

また、強く叱りすぎることで警戒心や攻撃性を高め、飼い主との信頼関係が崩れると書かれていますが、

これには犬の性質が大きく左右します。へこたれない犬もいれば、萎縮してしまう犬もいます。


でもちょっとしたことで、四六時中叱ってばかりの飼い主と、
して欲しくない事をただ叱るだけの飼い主は、なかなか信頼関係は築けないと思います。

僕が思うにいまだにしつけと訓練、トレーニングが混同されていると思います。

たしかに何か特別な犬にしたい場合は、特にモチベーションを大切にします。
(アジリティドッグ、ダンスドッグ、作業犬など)

犬に何か新しいことを覚えさせたい時には、犬の希求性が大切なのです。
トレーニングをする時に、出来ないからといって叱ると、モチベーションが下がり、

覚えることを拒絶してしまいます。

しかし、親にきちんと叱られることに愛情を感じ、叱ってくれる親にすがろうとすることが、
ある哺乳類動物の研究で認められています。

『しつけ』は、犬も人間の子供も道を踏み外さないように、
「やってもよい事」と「やってはいけない事」を教えることだと思います。

ですので、犬も人間の子供も何かいけないことをした時に、

親が愛情を持って本気で叱ることが大切だと思います。褒める事も叱る事も「同義語」なのです。


褒めるにしても叱るにしても、その言葉に「情熱」と「愛情」がなくては犬に伝わりません。

しかし、『反省』と『後悔』ができない犬の場合、ただ叱るだけでは、

犬は悪い行動をどう改めればよいかはわかりません。ここが人間の子供と違う所です。


『トレーニング』はマテが5分できるとか、オイデができるとか、僕が皆さんに※テニスを教えるようなものです。

なので絶対に叱りません。上手くできないからといって、叱られたくないですよね。

トレーニングでは、できたことを褒めるだけです。この辺は犬もテニスも同じです。

※元テニスコーチ、元全日本ダブルスランキングプレーヤー


でも間違えた時にはちゃんと修正し、正解に導いて褒めて終わります。

ここで、正解(望むこと)=グッド、間違い(望まないこと)=ノーを教えていくのです。

この時の「ノー」は、叱る「ノー!」ではなく、「違うよ」というニュアンスの「ノー」です。


『訓練』は、警察犬や盲導犬、麻薬探知犬など人間の仕事や生活に役立たせるために行うものです。
特に警察犬の訓練は、限られた時間の中で集中力と緊張感を求められるので、
指示の出し方は「座れ!」「待て!」と厳しく命令調です。(家庭犬でも命令調で言っている人は多いです。)

訓練には集中力と緊張感が必要ですが、家庭犬のしつけに必要なことは「リラックス」です。

犬のしつけは、飼い主が愛犬に何を求めるのか、そして、飼い主のライフスタイルで大きく変わってきます。

100の家庭があれば、100通りの暮らし方があるのですから。

僕が家庭犬のしつけで基本にしていることは、飼い主が望む事と望まない事を、

きちんと理解できるようになることです。スワレやフセがきちんとできる子がお利口な犬の基準ではありません。


※注 トレーニングも訓練も同じ意味ですが、犬のしつけにおいて整理しています。

大治郎と猫の太郎と杏です。この時期になると僕の布団に入って来ます。僕の姿は見えませんが、

僕の股の間で猫達は寝ています。そういえば何かの本に、犬と一緒に寝てはいけないなんて書いてあったなー。  


写真集 031
 


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