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Visse's Blog エッセイ: 2022年5月アーカイブ

犬を叱るということ~罰について~

犬の学習は、


■行動を増やすか
■行動を減らすかの2つになります。


行動には、良い行動と悪い行動があります。そして、犬の悪い行動を減らそうとするために必ず使われるのが「」です。罰とは、犬が何か好ましくない行動をした時に叱ったり、時には叩いたりして、犬が「嫌がること」や「怖がるもの」を使って、悪い行動をすると「嫌なことが起きるよ」と、学習させるために使われるものです。嫌悪刺激と言います。


犬が吠えた時に缶を投げて驚かしたり、無視するというのも罰(正しくは消去)ですが、これらの方法を行っても効果は全くありません。なぜなら、罰を与えるだけでは犬は何も学習しませんし、罰で良い行動が増えることはないからです。

罰は犬に痛みを与えたり、いうことを聞かせるために与えることが目的ではありません。吠えることも含めて犬の行動を止めるために、あくまでも、一時的なブレーキとして使うものなのです。ここでいう一時的なブレーキとは、「No!」や「ダメ!」と叱ることです。


しかし、善悪の概念と反省と後悔ができない犬を叱るだけでは、正しい行動を学習させることはできません。罰はあくまでも、犬の好ましくない行動を止めるための、一時的なブレーキでしかないということです。


ただし、重度の無駄吠えや飼い主を本気で咬むなどの問題行動に対しては、犬に伝わるまでしっかりと叱責する必要があります。☜ここが難しい

犬は、学習する生き物です。しかし、ほとんどの飼い主は、叱るだけで犬に学習する時間を与えません。その学習とは、何回も何回も繰り返し、犬が正解にたどり着くまで根気強く教えなければならないのです。ここまでの話で、犬を叱ってはいけないということではありません。私も罰は使います。


しかし、罰を使ったら必ず犬に正解を教え、褒めて終わります。叱りっぱなしにしないで叱ることに責任を持ちます。私が最も怖いのは、「飼い主の罰を与える行動が、エスカレートしていくこと」です。


ある生徒さんで、ラブラドールの雄が吠える度に、布団たたきで叩いて止めさせていた方がいました。そのうち布団たたきでは効かなくなり、モップの柄で叩くようになりました。モップの柄で効かなくなったら、次は金属バットになるのでしょう。

しかし、そうなる前にレッスンを受けてくれたので、もう叩くことなくその子の吠えは治りました。犬に体罰を与え続けると、犬の反抗心を育ててしまうこともあります。もちろん、信頼関係は絶対に築けません。


さらに、いつも叱ってばかりいると※馴化してしまい、効果がなくなってしまいます。しつけの基本は、悪い行動を叱って減らそうとするのではなく、前述したとおり、犬が正解を覚えるまで何回も何回も根気強く教え、良い行動を褒めて増やすことです。そうして育てられた犬は、飼い主の望むことと、望まないことをきちんと理解できるようになるのです。


※馴化=何度もその※刺激を受けているうちに、刺激にだんだんと慣れてしまうこと。
※刺激=叱る、叩く、音、匂い、人、犬、車、オートバイ、触られる(ブラッシング・爪切り)

              物(掃除機、ドライヤーなど)


横浜市の犬のしつけ教室/犬の幸せとは?

犬の幸せとは何でしょうか?犬はどんな時に幸せを感じるのでしょうか?犬は「好奇心」のかたまりです。その好奇心の先にあるものは「達成感」です。そして、狩猟動物である犬の好奇心は、とくに「探索する」「追いかける」「破壊する」という行動によって満たされます。

 
ボールを追いかけるのは、獲物を追いかける本能であり、ぬいぐるみの綿を取り出して破壊するのは、仕留めた動物の内臓を引っ張り出す本能です。麻薬探知犬や災害救助犬、警察犬たちが生き生きとして仕事をするのも、「探索行動」の探し当てた時の達成感から得られる自分自身の喜びと同時に、飼い主の喜ぶ姿が犬にとっても幸せだからです。


僕が小学生の頃、友達と探検ごっこをして硬式野球のボールを見つけた時の興奮は、今でも忘れることができません。人も犬も何かを達成することで、喜びを得られるように神様がインプットしています。


探索行動以外では、フリスビーやボールを追いかけるなどの「狩猟行動」は、いっそう犬の本能を掻き立てることができます。そして、その達成感は、飼い主と共有できた時、何倍もの喜びとなりこの上ない幸せを犬は感じるのです。


では、使役犬と違い仕事を持たない無職の家庭犬にとって、幸せとは何でしょうか?それは、大好きな飼い主とのお散歩です。犬にとって大好きな飼い主と共に行動する散歩の時間は、1日のうちで最も楽しい時間なのです。


散歩に行くことで外の世界と繋がり、五感が刺激され豊かな心を育むことができるのです。毎日お散歩に行く犬の表情は、

生き生きとしています。逆に散歩をしない子は、外での刺激が不足し、神経質で臆病な子に育ちやすくなります。


とくに長時間のお留守番をさせられて散歩が不足している犬は、ストレスをため込んでイライラしています。それが、無駄吠えや噛みつきという行動に現れるのです。問題行動の多くは、長時間のお留守番と散歩不足によるストレスです。

 
私の生徒さんでペットショップの店員さんや獣医さんに、「お散歩は毎日行かなくても、週に1~2回でも大丈夫ですよ」と言われた方が何十人もいます。言われた方のほとんどが、小型犬の飼い主さんですが、これは多分、犬を「家畜」として「飼う」ことを前提に言われているのだと思います。


家畜ということであれば、お散歩は飼い主の都合で行きたい時に行こうが、ケージに閉じ込めてお留守番を長時間させようが構わないでしょう。しかし、「家族」として「共に暮らす」のであれば、豊かな生活環境を与え、愛犬の心を育むことが飼い主としての義務であり、責任ではないでしょうか?

 

その一番の義務と責任がお散歩だと私は思っています。朝は時間がなくてお散歩に行けないというのは、理由にもなりません。
 
散歩は、愛犬の心と体を健全に育み、飼い主と信頼関係を築く基礎作りです。
散歩は、犬が犬としての喜びを感じる、1日で一番大切な時間です。

ヴィッセが考える「共に暮らすためのしつけ」とは、毎日のお散歩が土台としてあって成り立つと考えています。犬にとって、飼い主との散歩は生活のすべてです。挑戦すること、協力すること、達成すること、そして、元気に走り回ること・・・犬の一生は、毎日が夏休みなのです。 


横浜市の犬のしつけ教室/~犬本来の性質~

1. 身の回りのものは人の手も含め、すべて噛むためのオモチャだと認識している。
  >ものを鑑賞するという趣味はない⇒破壊するのが大好き
 
2. 学習能力は高いが、言語というコミュニケーション手段を持たない。
  >短い単語は覚えられるが、文章になると理解できない
 
3. 「反省」と「後悔」ができない。
  >叱るだけでは、悪い行動を改めることはできない⇒常に正解を教える
 

4. 利益(楽しい)か不利益(楽しくない)かで判断する。
  >楽しいこと(ご褒美)には近づき、嫌なこと(罰)は避けようとする
 

5. 狩猟動物である。
  >獲物を探し、追いかけ、咬みつき、引き裂き、食べるという本能を強く残している
 
6. 道徳心と価値観を持たない。
  >飼い主の価値観と、道徳心がそのまま犬に反映する
 
7. 社会性が高い。
  >仲間意識(群れ)が強く、独りでいると不安になる
 
8. 社会化期が短い。

  >不足すると、他の犬や人間に攻撃的、または臆病で吠えやすくなる
 
9. 嗅覚が優れている。
  >人間は「視覚」で判断するが、犬は「臭い」で判断する
 
10. 現在(今)を一生懸命生きている。
       >犬には「過去」も「未来」もなく、今この瞬間がすべて
    
※社会化期  
イヌの生後3~13週齢の期間を指し、親、兄弟達と暮らすことで、群れ社会の素地を身につけていく期間。

その後、人間社会での社会化が始まる。ヒト・イヌ・色々な音・車・など、人間社会のすべての刺激に慣れさせる。


横浜市の犬のしつけ教室/共に暮らすためのしつけとは?

ヴィッセが考える「共に暮らすためのしつけ」とは、人に飛びつかないとか、テーブルに乗ってはいけないとか、
台所に入ってはいけないとか、拾い食いをしないなど、日常生活でのルールを教えることです。
そのルールを教える上で、最も大事なしつけが禁止のしつけです。
 
禁止のしつけとは、やってはいけないことです。例えば、家で無駄吠えをしたり
散歩中に他の犬に吠えかかったり、オシッコをどこでも勝手にして周りに迷惑をかけていたら、
どんなにお座りや待てなどが上手にできても意味がないと思います。

ヴィッセのレッスンでも、「お座り」や「待て」などは教えますが、

それよりもこの禁止のしつけの方を大事にしています。 ちなみにヴィッセの「待て」は、

「一時待機の待って」「帰って来るからねの待って」「緊急の待って」と3種類あります。

そして、この禁止のしつけ方が、あるトレーナーは「無視する」、またあるトレーナーは、
叱る」というふうに、それぞれのトレーナーによって、対処の仕方が違うのが現状です。
その禁止のしつけでは、以下のことが良く行われます。
 
・マズルをつかんで叱る    ・犬を仰向けにして叱る  ・叩く 
・音の出る缶を投げ驚かす   ・リードを強く引っ張り首にショックを与える

など、これらの対処法は、犬を「家畜」として扱うことを前提としたしつけの方法です。
ここで言う家畜とは、犬を人間より下に見て、犬の気持ちや心を尊重しないということです。

よくテレビや映画の中に登場する犬たちは、飼い主にとても忠実で擬人化されて描かれています。

そんなイメージが強いせいか、多くの方が「犬は人間のようにものを考えることができる」と思い、

「ダメ!」「○○しない!」と叱って、犬に反省を求めるしつけを行ってしまいます。
 
しかし、「何が悪かったのか?」の理由づけと、反省ができない犬をいくら叱っても、
一時的にやめるだけで、善悪の概念がない犬は、悪い行動をどう改めればよいかはわかりません。
したがって、同じことに対していつまでも叱り続ける結果にしかなりません。

また、しつけの本やネット、または人から聞いた情報などで、犬をしつけようとしても上手くいきません。

なぜならそれらの情報は、あなたの犬に向けて書かれたものではないからです。
 
さらに、犬の性格や飼い主の性格、そして、各家庭の犬に与える生活環境もそれぞれ異なるので、

よその家で上手く行った方法が、自分の犬にもうまく行くとは限らないのです。
 
人と犬は、文化も習慣も、そして、コミュニケーションの手段も違います。
そんな人と犬が一緒に暮らすわけですから、犬をしつけようとする前に、飼い主が正しい知識を学ぶことです。
 
そうして初めて、しつけに対する適切なアプローチと、問題への的確な対処が出来るようになるのです。

子供のしつけにも犬のしつけにも、近道はありません。そして、犬のしつけは、飼い主次第です!
 


愛犬に攻撃行動が起きた時の対処②~優性攻撃行動~

愛犬が何か問題を起こした時、飼い主は問題が突然起きたと思いがちですが、ほとんどの問題行動というのは、
どんなに突然始まったように見えても、問題が起きる原因には必ずプロセスがあるのです。
犬が飼い主を本気で咬む原因は、犬の生まれながらの資質に加えて、飼い主の行動にも原因があります。
 
「犬を四六時中抱っこする」 「犬の好きなように自由に行動させる」 「一緒のベッドに寝かせる」
「犬の要求に無条件で応じる」 「散歩は犬の行きたい方へついて行く」など、
 
飼い主が良かれと思って与えている愛情態度接し方を、犬が自分に対して「従属的な態度」だと受け取り、
その結果、自分の方が上だと思ってしまうのです。それが、「優位性攻撃行動」です。
20年ほど前は、「権勢症候群」と言われていました。最近では、「自己主張性攻撃行動」とも言われています。
 
子供も犬も問題が起きると、「飼い主(親)が甘やかして育てたからだ」と言われます。
甘えさせると甘やかすは違います。甘やかしとは相手の要求に「無条件」で応えてしまうことです。
甘やかしは、決定権を人間であれば子どもに、犬との生活であれば犬に与えてしまいます。
 
犬も子供も甘やかしは、問題行動が起きやすい原因とも言えるでしょう。

飼い主と犬との信頼関係を築きなおすには、生活全般に渡って、飼い主が決定権を握っていることが重要になります。
 
犬(子供)をノールールで自由に育て過ぎると、当然わがままな犬(子供)になりやすくなります。
愛犬に攻撃行動が起きた時、まず始めに見直すことは、犬に決定権を与えないことです。
 
犬が何か行動を起こそうとした時に、 一旦、飼い主に「してもいいの?」と「お伺い」を立てさせ、

常に犬の方から飼い主にコミュニケーションを取ってくるように習慣づけるのです。

お伺いを立てさせることで、犬の従属性が引き出され、より飼い主の決定権が強化されます。
 
例えば、抱っこをせがむ時は、「お座り」をさせて、座ったご褒美として、犬の要求を満たしてあげます。

優位性攻撃行動の矯正で大切なことは、犬が何かを要求している場合には、無条件に応えるのではなく、

必ず飼い主側からの要求を挟むことで、犬の従属性を引き出すことです。
 
そして、犬にとって今まで無条件で手に入れていたご褒美となるものは、

今後一切ただでは手に入らない、ということを学習させます。優位性攻撃行動の改善は、

犬以上に飼い主の行動と意識の変化が求められます。
 


愛犬に攻撃行動が起きた時の対処①~ヴィッセのテキストから~

愛犬に攻撃行動が起きた場合、まず行う順番は以下の通りです。

1.咬まれる状況を徹底してつくらない
2.
行動欲求を満たし、生活環境を見直す
3.
日常生活で行う3つのことを実践する

1.の「その状況をつくらない」は、「服を着せようとすると咬んでくる」とか、「お尻を拭こうとすると咬んでくる」など、今後、絶対に服を着せなければいけない、散歩の後、絶対にお尻を拭かなければならない、ということはないので、まず、服を着せるのをやめる、お尻を拭かない、咬む要因となるオモチャを与えないなど、犬が攻撃行動を起こしやすい状況を徹底して排除します。


これは、今後二度と洋服を着せないとか、お尻を拭かないという意味ではなく、攻撃する経験をさせないと言う意味で行います。犬が攻撃する行動を頻繁に行っていると、学習の連続になり常態化してしまうのです。また、飼い主は攻撃を繰り返されることで、愛犬に対する恐怖心が更に増してしまいます。そうなってしまうと、今後のレッスンが余計に難しくなるので、攻撃行動を起こす状況を、絶対に作り出さないという考え方です。

反対に犬と喧嘩慣れしている訓練士たちは、犬が噛んでくる状況をあえて作り出し、戦って服従させることで解決しようとします。この方法が間違っているということではなく、同じことを飼い主が行うのは非常に難しいということです。もし、飼い主が決着をつけられなかった場合は、問題が更に悪化してしまいます。

次に2.の「行動欲求を満たす」を行います。お散歩は必ず1日2回行き、できれば公園でロングリードをつけて走らせて下さい。また、お散歩中は、好き勝手に歩かせないようにします。とくに匂いを嗅がせるときは、好き勝手に嗅がせず、必ず許可を与えて嗅がせて下さい。日常生活の色々な場面で許可を与えて行動させることで「お伺い」をたてさせるようにします。

そして、攻撃行動が収まっている間に、3.の日常生活で行う3つのことを毎日実践して下さい。
最終的なゴールは、犬の我慢と従属性を引き出し、愛犬ときちんとコミュニケーションが取れるようになることと、「ダメ」がきちんとわかる犬に育てていくことです。


防御性攻撃行動について~ヴィッセのテキストから~

防御性攻撃行動は、縄張り性攻撃行動とも呼ばれています。その縄張りは、通常「家」や「庭」
または、「車の中」であったりしますが、お散歩などで他の犬や、人に対して吠えている場合は、
飼い主が縄張りの対象となります。一般的に言う無駄吠えです。  
 
これらの縄張りに近づこうとする人や犬に、威嚇して吠えたり、咬んだりして攻撃的に
家族や自分を守ろうとすることが、防御性攻撃行動の大きな特徴です。
 
また、不安や恐れに基づいた攻撃性として、ブラッシングで身体を触ろうとしたり、

首輪やハーネスを付けようとする時に、飼い主に対して唸ったり、更には咬みついたりして

自分を守ろうとする不安性攻撃行動もよく見られます。

これらの行為が顕著な犬に共通していることは、生まれつき怖がりで警戒心が極度に強い犬です。
この問題行動の背景には、常に「不安」や「恐怖」「過去のトラウマ」などが存在し、
オス、メスともに3ヶ月齢~1才過ぎに出現することが認められています。 

 
防御性攻撃行動が発達すると考えられる要因
  
遺伝的要因   ☑現在の環境的要因  社会化不足  犬の性質 散歩不足
 □飼い主の犬への接し方    ☑飼い主のリーダーシップ不足  □飼い主の行動と性格 
問題に対する飼い主の不適切な対処  □飼い主のしつけに対する意識不足 
 
改善に必要とされる期間
 
・3ヶ月~6ヶ月(飼い主の生活環境の改善による)
  
改善の為にやらなければならないこと
 
(1)散歩が足りていない場合、1日2回(最低30分)の散歩と十分な運動を与え、
   ストレスとエネルギーを発散させることで、「心」と「体」 のバランスを整え心身ともに満足させる。
 
(2)「日常生活で行う3つのこと」を毎日実践する。


現在における家庭犬のしつけとは?~ヴィッセのテキストから~

現在の家庭犬のしつけの方法は、警察犬の訓練が基盤となっています。
訓練は服従訓練と呼ばれ、命令に忠実に従わせ絶対的な主従関係を築くことが特徴です。
 
訓練は、常に緊張感の中で行われ、指示の出し方も「座れぇ!」「待てぇ!」と
厳しく言わなければなりません。また、この訓練で必ず言われることが、
 
・玄関を出るときは飼い主が先   ・飼い主より先に歩かせない
・食事は飼い主が先で犬は後      ・犬と一緒に寝てはいけない
 
などですが、これらのことは、家庭犬のしつけとは何も関係がありません
そもそも、この服従訓練の目的とは、使役犬になるためのものです。
使役犬とは、警察犬や盲導犬など、人のために働く犬のことです。
 
使役犬である限り、上司と部下という一線を引いた主従関係が必要になります。
しかし、人のために働くことのない無職の家庭犬との暮らしには、
訓練も主従関係も必要ありません。
 
家庭犬は、毎日遊ぶことが仕事です。家庭犬の一生は、毎日が夏休みなのです。
 
使役犬として、忠実に従わせるための訓練
家庭犬として、共に暮らすためのしつけは、まったく別なものです。
 
共に暮らすためのしつけとは、人に飛びつかないとか、台所に入ってはいけないとか、
他の犬と上手に挨拶ができるとか、日常生活でのルールを教えることです。
そのルールを教える上で、最も大事なしつけが禁止のしつけです。
 
禁止のしつけとは、やってはいけないことです。例えば、家で無駄吠えをしたり
散歩中に他の犬に吠えかかったり、オシッコをどこでも勝手にして周りに迷惑をかけていたら、
どんなにお座りや待てなどが上手にできても、意味がないと思います。

そして、この禁止のしつけ方が、あるトレーナーは「無視する」、またあるトレーナーは、
「叱る」というふうに、それぞれのトレーナーによって、対処の仕方が違うのが現状です。
その禁止のしつけでは、以下のことが良く行われます。
 
・マズルをつかんで叱る    ・犬を仰向けにして叱る  ・叩く 
・音の出る缶を投げ驚かす   ・リードを強く引っ張り首にショックを与える

など、これらの対処法は、犬を「家畜」として扱うことを前提としたしつけの方法です。
ここで言う家畜とは、犬を人間より下に見て、犬の気持ちや心を尊重しないということです。
犬の気持ちや心を尊重しないということは、永遠に犬の気持ちがわからないということです。

よくテレビや映画の中に登場する犬たちは、飼い主にとても忠実で擬人化されて描かれています。

そんなイメージが強いせいか、多くの方が「犬は人間のようにものを考えることができる」と思い、

「ダメ!」「○○しない!」と叱って、犬に反省を求めるしつけを行ってしまいます。
 
しかし、「何が悪かったのか?」の理由づけと、反省ができない犬をいくら叱っても、
一時的にやめるだけで、善悪の概念がない犬は、悪い行動をどう改めればよいかはわかりません。
したがって、同じことに対していつまでも叱り続ける結果にしかなりません。

また、しつけの本やネット、または人から聞いた情報などで、犬をしつけようとしても上手く
いきません。なぜならそれらの情報は、あなたの犬に向けて書かれたものではないからです。
 
さらに、犬の性格や飼い主の性格、そして、各家庭の犬に与える生活環境もそれぞれ異なるので、

よその家で上手く行った方法が、自分の犬にもうまく行くとは限らないのです。
 
人と犬は、文化も習慣も、そして、コミュニケーションの手段も違います。
現在における家庭犬のしつけとは、犬をしつけようとする前に、飼い主が正しい知識を学ぶことです。
 
そうして初めて、しつけに対する適切なアプローチと、問題への的確な対処が出来るようになるのです。
子供のしつけにも犬のしつけにも、近道はありません。そして、犬のしつけは、飼い主次第です! 

 


横浜市の犬のしつけ教室/今すぐやめよう~従来のしつけ方~

従来のしつけ方~主従関係を築くことが前提~                                    

・犬と一緒に寝てはいけない。
・ご飯は人間が先で犬は後。
・散歩は決まった時間に行かない。
・玄関を出る時は飼い主が先
・犬を飼い主より先に歩かせない。
・犬をソファーに乗せない。
・オモチャで引っ張りっこをして負けてはいけない。
・前足を飼い主に掛けさせてはいけない。


>これらの事項を守らないと犬がリーダーになると、いまだに唱えている人達がいますが、
上記のことをいくら頑張って実践しても犬がリーダーになることはありませんし、
あなたがリーダーになれる保証もありません。なぜなら、あなたがリーダーとしてふさわしいかどうかは、
犬(部下)が決めることだからです。あなたがリーダーとして犬から信頼を得られるには、
もっと違った努力をしなければならないのです。

 
 ■教え方の特徴~体罰を与えるしつけ方が中心~

・チョーク首輪でリードを強く引いて首にシ ョックを与える。
・犬が吠えたら缶を投げて驚かす。(訓練所ではバケツでした)
・マズルをつかんで叱る。
・甘噛みをしたら口の中に手を入れて叱る。
・何かいけないことをしたら仰向けにして叱る。

 
>これらの対処法は、犬を「家畜」として扱うしつけ方です。虐待と言ってもいいでしょう。
いくら体罰を与えても犬は何も学習しませんし、豊かな心を育むことはできません。
愛犬を「家族の一員」と考えている方は、絶対に行わないで下さい。

 
その他、間違った情報

・甘噛みを許していると本気咬みになる。☞ 絶対になりません。本気咬みは別の問題です。
・マウンティングを許すと犬がリーダーになる。☞ なる訳がない。
・出かける時は黙って出て行く。☞ 余計不安になります。     
・犬を名前で叱ってはいけない ☞ 全然大丈夫です。多頭飼いの場合は、どうするのでしょうか?

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